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第76 回 (2013年9月号)
Galloping Foxley「韋駄天のフォックスリイ」Roald Dahl


早川文庫『あなたに似た人』所載 田口俊樹 訳

by 柴田耕太郎







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 文法力をつけたいが、無味乾燥な文 法書など読みたくない。
 そんな読者のために、人気小説の翻訳書に見る誤訳・悪訳をとりあげ、 文法面から解説してゆく。題材は最近映画化された『チョコレート工場』の原作者で、日本がロケ地になった映画『007は二度死ぬ』の脚本家でもあるロアル ド・ダール(Roald Dahl)の短編から任意に選ぶ。いずれも原文で10ページ程の短いものが中心だから、読者も自分で訳してみて、この解説を参考に市販訳との優劣を競って みてはいかがだろうか。
 冒頭に誤りの種別と誤訳度を示したうえ、原文と邦訳、誤訳箇所を掲げ ます。どう間違っているのか見当をつけてから、解説を読んでください。パズルを解く気分で、楽しみながら英文法を学びましょう。
誤訳度: *** 致命的誤訳(原文を台無しにする)

** 欠陥的誤訳(原文の理解を損なう)

愛嬌的誤訳(誤差で許される範囲)
Galloping Foxley「韋駄天のフォックスリイ」
ストーリー
主人公は初老の紳士。毎日列車でロンドンの事務所に通っている。或る日から、見なれぬ男が通勤に加わり、あろうことか自分の定席の向かいに座を占めた。古 い記憶を引き戻してみると、中学時代同じ寮生活をし、自分をたっぷりいじめてくれた上級生だった。あの時の辛い思いをちくちくと思い出として話し、いた ぶってやろうと声をかけた。ところが・・・人違いであった。


(原文p506―訳文p157) 代名詞
Then I sort of froze up and sat staring at him for at least a minute before I got hold of myself and made an answer.
This is a smoker,’ I said, ‘so you may do as you please.’

私はゾクッとする と、すくなくとも一分ぐらい、その男の顔を、穴のあくほど、みつめたまま、坐っていたのだ。それからやっと我にかえって、答えたものだ。
わたしだって煙草のみですよ。どうぞお気がねな く」


(コメント)

this を取り違えている。「私」ではなく「この車両」のこと。
ついでに a minute は「一分」ともとれるが、そん なに見つめる失礼は普通しまい。「しばらく」の意にとるのが順当。at least は「少なくとも」との限定ではなく、a minute を強調している(とにかく、何しろ)ととるのがよいだろう。

修正訳:
これは喫煙車ですから ね。
(原文p507―訳文p158) 形容詞
I can’t say I’ve ever had an actual conversation with him before ― we are rather a
reserved lot on our station ― but a crisis like this will usually break the ice.

といって、これまで に会話らしい会話をかわしたことはなかった―この駅では、二人と もひどく内気な人間だったからだ―しかし、このような危機に直面したら、だれだって打ちとけるものだ。

(コメント)

lotは「奴、輩、人」。reserved は「内気」でなく「控え目な」。やたらに馴れ馴れし くしない、イギリスのインテリなのだ。we は「二人」でなく「この郊外の小さな駅で通勤列車に乗る人たち」ととったほうがよいだろう。

修正訳: だれもが控え目で、やたらに話しかけたりしない。
(原文p510―訳文p163) 名詞
They were pointed shoes, and it was my duty to rub the leather with a bone for fifteen minutes each day to make it shine.

先のとんがった靴 で、それがピパピカになるまで、毎日骨でみがくの が、私の役目の一つだった。

(コメント)

ここ、田口俊樹の新訳でも 「骨」となっているが、「骨でみがく」とはどんな靴なのかと思ってしまう。辞書を丁寧に引いてゆくと、bone = bone white 〔骨 白色、ボーンホワイト(灰色がかった白など)とある。これが a と可算名詞化され「白系の靴墨」ととるのが順当だろう。

修正訳:
白い靴墨で
(原文p516―訳文p176)  ? 数詞
“I’m glad to meet you,’ he said, lowering the paper to his lap. ‘Mine’s Fortescur ― Jocelyn Fortescue, Eton 1916.

「いや、お目にか かって、こんなにうれしいことはありません」と、相手は新聞を膝におくと言った、「私、フォーテスキューと申します、ジョスリン・フォーテスキュー。イー トン校、一九一六年の卒業です
 

(コメント)

この前に主人公が自分を紹介 し、― and I was at Repton in 1907.と 言っている。in  は入学年度を示すととってよ いだろう。Eton 1916in がないのはどうとるべきか、入学なのか卒業なのか。こうしたちょっとしたことが哀しいかな、私も含め日本人の英語学習者にはわからない。機会を見てネイ ティヴに聞いてみよう。
 


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