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第72回 (2013年4月号)
They shall not grow old  「彼らは年をとらない」

永井淳訳、早川書房刊『飛行士たちの話』より
by 柴田耕太郎
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  文法力をつけたいが、無味乾燥な文法書など読みたくない。
 そんな読者のために、人気小説の翻訳書に見る誤訳・悪訳をとりあげ、文法面から解説してゆく。題材は最近映画化された『チョコレート工場』の原作者で、日本がロケ地になった映画『007は二度死ぬ』の脚本家でもあるロアルド・ダール(Roald Dahl)の短編から任意に選ぶ。いずれも原文で10ページ程の短いものが中心だから、読者も自分で訳してみて、この解説を参考に市販訳との優劣を競ってみてはいかがだろうか。
 冒頭に誤りの種別と誤訳度を示したうえ、原文と邦訳、誤訳箇所を掲げます。どう間違っているのか見当をつけてから、解説を読んでください。パズルを解く気分で、楽しみながら英文法を学びましょう。
誤訳度: *** 致命的誤訳(原文を台無しにする)
** 欠陥的誤訳(原文の理解を損なう)
愛嬌的誤訳(誤差で許される範囲)
They shall not grow old  「彼らは年をとらない」
ストーリー
偵察に出て死んだと思われていた飛行士仲間のフィンが、二日半ぶりに基地に戻ってきた。だが本人は1時間半しか経っていないという。それから1週間後、再びの空中戦のさなか、フィンは恐ろしい記憶を呼び覚ました。偵察の途中、白い雲に覆われたその彼方に、死んでいった敵味方の戦闘機が列をなして飛んでいる姿に遭遇したというのだ。僚友であるフィンの話だから誰も信じないわけにゆかない。そのフィンも度重なる戦いでついには撃墜されてしまう。「俺は本当に運のいい奴さ」との言葉を残して。
(p285) 日本語表現
We could feel the hot air touching the inside of our lungs when we breathed and we found it better if we almost closed our lips and breathed in quickly; it was cooler that way.
(p181)
息を吸うと、肺のなかが熱気で灼けるような感じで、口を小さくすぼめてさっと息を吸いこむといくらか楽なのに気がついた。そのほうが多少は涼しかった。
(コメント)
前に「灼熱の地獄」といっているので、「涼しい」は奇異な感じがする。絶対的な涼しさでなく、熱さの程度を比較しているのが分かるように訳してほしい。
修正訳:
まだましだった
(p285) 日本語表現
Our two Hurricanes were standing a few yards away, each with that patient, smug look which fighter planes have when the engine is not turning, and beyond them the thin black strip of the runway sloped down towards the beaches and towards the sea.
(p181)
われわれの二機のハリケーンは、数ヤード先に止まっていた。エンジンをとめている戦闘機に特有の、あの忍耐強くとりすました感じがあり、その向うでは黒く細長い滑走路が、海岸と海のほうへ傾斜していた。
(コメント)
確かに原文はslope downと書いてあるが、そのまま訳すと傾斜に力点がいってしまうので、ぼやかす。
修正訳:
伸びていた
(p285) 日本語表現
The heat haze hung like a vapour over the aerodrome.
(p181)
飛行場ではかげろうが蒸気のように揺れていた。
(コメント)
これも同じ。
修正訳:
かげろうが揺れていた
(p285) 日本語表現
The Stag moved his feet on the hot ground.
(p182)
スタッグが熱した地面で足を動かした。
(コメント)
下の熱さにたまらず、足を組み替えるのが分かるように訳す。
修正訳:
熱さにたまらず足の位置を変えた
(p285) 日本語表現
We stood looking northwards into the clear sky, and we shifted our feet on the ground because of the softness of the tar and because of the heat.
(p182)
われわれは北のほうの青空に目を向けながら、熱気でやわらかくなったタールの上に足を踏みかえた。
(コメント)
「上に」では「どこから」が問われてしまう。
修正訳:
(p286) 日本語表現
‘And anyway, I’d like to meet the Vichy Frenchman who can get Fin.’
(p183)
「どっちにしろ、フィンをやっつけられるようなヴィシー派のフランス人がいたらお目にかかりたいもんだ」
(コメント)
前に「やられたらしい」と言っているのを受けての言葉。「どちらかを選べ」と言っているのではない。「状況がどんなであれ」との意味だ。
修正訳:
何にしろ
(p286) 日本語表現
We were in Palestine fighting the Vichy French in Syria.
(p183)
われわれはパレスチナにいて、シリアのヴィシー政権のフランス軍と戦っていた。
(コメント)
歴史に詳しい人でもなければ、フランスが開戦早々降伏しペタン元帥を首班とするヴィシー政府を樹立、イギリスと戦っていたことを知るまい。説明的に訳す。
修正訳:
シリア駐屯のヴィシー派フランス軍
(p287) ** 仮定法
‘No,’ said Fin. ‘Cabaret girls make fine wives. They are never unfaithful. There is no novelty for them in being unfaithful; that would be like going back to the old job.’
(p184)
「いや」と、フィンはいった。「キャバレーの女はいい女房になるぜ。絶対に浮気をしない。浮気なんて連中には珍しいことじゃない。昔の仕事に戻るようなもんだからな」
(コメント)
novelty は、新規性があったり、独創的であったり、普通と違っていること。「珍しくも、面白くも、興味を引くものでも、何でもない」。セミコロン以下で敷衍する。that は前文の内容、つまり浮気すること、を指す。would は仮定法、そんなことを仮にするとしたら、の意。the old job は、元の仕事、すなわちキャバレーの女給。元訳では「浮気=元の仕事」に読めてしまう。
修正訳:
浮気なんて面白くもなんともないのさ。元の仕事に戻る破目になっちまうからな。
(p289) 日本語表現
Others were coming up and crowding around him now, fitters and riggers and the men who drove the fire tender, and they all waited to hear what Fin would say.
(p188)
ほかの連中、整備兵や艤装兵や消防車の運転手たちもぞくぞく集まってきて彼をとりかこみ、フィンの説明を待った。
(コメント)
艤装は船にするもの。飛行機なのだから、装備のほうがよかろう。
修正訳:
装備兵
(p298) 日本語表現
I remember the one that had its rear turret shot away, which flew along with the gunner hanging out of the tail by his straps, struggling to get back into the machine.
(p204)
後部銃座を吹っ飛ばされた機もあった。銃座はベルトで尾翼からぶらさがって、機内へ戻ろうともがいている銃撃手を引っぱったまま、宙を漂っていた。
(コメント)
銃座が尾翼からぶらさがっているようにとれてしまう。点の打ち方を変える。
修正訳:
銃座は、尾翼にぶらさがったまま機内へ戻ろうともがく銃撃手を引っぱって、
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