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第30回 (9月下旬号) 『英文をいかに読むか』
by 柴田耕太郎
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 文法力をつけたいが、無味乾燥な文法書など読みたくない。
 そんな読者のために、人気小説の翻訳書にみる誤訳・悪訳をとりあげ、文法面から解説してゆく。今回は趣向を変えて英語読解指導書『英文をいかに読むか』(朱牟田夏雄著、文建書房)を取り上げる。

 この著者は東大の教養の英語教師であり、訳書、英語指導書もずいぶんとある。この本の巻頭にも「英文の解釈あるいは英文和訳というのは、与えられた英文の意味を理解して、そして多くの場合、その理解した意味を日本語で言いあらわすことである」「この種の文章は、全体が何を言おうとしているのかをしっかりつかんで、よく意味の通ずる訳文になるように心がけてほしい。安易な逐語訳は感心しない」と私たちが肝に銘ずべき英文読解の基本を示してくれている。前回取り上げた『英語のセンスを磨く』の著者、行方昭夫の師匠でもあり、行方は別の英語指南書で「東大教養科で朱牟田夏雄先生に習った英文精読の方法を、本書に生かしたい」旨、述べている。受験英語業界の有名人である薬袋某氏の著書にも、この『英文をいかに読むか』が推薦されており、以来受験参考書のコーナーにこの本が平積みになった。
 だが、私にはあまりよい本には思えない。手本にして学ぶには、誤訳・悪訳が多すぎるのだ。一回では全てを尽くせぬだろうが、いくつか代表的な瑕疵を見てゆきたい。

p18<例文 2>
It is because the financial rewards of authorship are so small that there is so much eagerness, so much scheming to win the prizes that are every year awarded to certain books, or to enter into one or other of the academies which not only set an honourable seal on a career but increase an author’s market value.
(朱牟田の解説)
念のため書き添えると、上の文では文頭のItは2行目の
that there is so much ... 以下をさすので、全体の意味は大体次のようになる。

[私のコメント]
これは
itthat でなく、強調構文。it is that を消しても文が成立することで、それがわかる。強調される要素は because 以下 that の前まで(「熱心さと画策が存在するのは、報酬が少ないからであればこそだ。」)。
p20<例文 3>
I think I could be justly blamed if I saw only peoples faults and were blind to their virtues. I am not conscious that this is the case.
(朱牟田の解説)
もし私が、人の欠点ばかりを見て、人の美徳にめくらであったのなら、私は非難されても仕方がないと思う。しかし私は、私のばあいがそうだったとは思わない

[私のコメント]
説得力のない訳文。この
case は「事実、真実」の意。this は直前のことを指し、ここでは前文の内容(人の欠点をあげつらい美点を見ないこと)。また、第二文の現在形を何でわざわざ過去に訳すのか疑問。
改訳: だが、この非難は当っていまい。
p22<例文 4>
In any matter of which the public has imperfect knowledge, public opinion is as likely to be erroneous as is the opinion of an individual equally uninformed. To hold otherwise is to hold that wisdom can be got by combining many ignorances.
(朱牟田の解説)
この部分の正解は「そうでないと考えることは、無知なものを多勢よせ集めれば叡智に到達できる(智恵をうみ出すことができる)と考えることである」というようなことだろう。

[私のコメント]
朱牟田は可算名詞と不可算名詞の区別ができていないようだ。他の箇所でも同様の過ちがみられる(可算、不可算の区別が確立したのは、そう古くないことなのかも知れない。文法も進歩するものなのである)。
many ignorances と可算名詞化されることで、眼に見えなかった「無知」が眼に見えるもの(無知な人、事、物、状態など)に転化する。ここは「無知な人間を多数集めれば、智恵が生まれる」ということ。
p28<例文 6>
Not the least of Zoological Gardens many attractions is their inexhaustibility. There is always something new, and — what is not less satisfactory — there is always something old that you had previously missed.
(朱牟田の解説)
not the least で「最小ならざるもの」
朱牟田の訳:動物園の持つ数多くの魅力のうちで、決して軽いとはいえない一つは、動物園は無尽蔵だということである。

[私のコメント]
「最小ならざるもの」では、どのくらいの程度かが不明。
not the least は二つの意味がある。(1)最小でなどない→最大 (2)最小ですらない→少しもない。
大体は(1)、ここもそう。
改訳: その最たるもののひとつは
p28<例文 6 続き>
There the quaint little absurdity was, all that long while, as ready to be seen as to-day, but you never saw him, or, at any rate, you never noticed him. The time was not yet.
(朱牟田の解説)
absurdity という語のこのような用法は、文法にいわゆる ‘abstract for concrete’(抽象名詞の具体的用法)というものの例だが…

[私のコメント]
このあたり2ページに渡って、くどくど抽象名詞の具体的用法について述べているが、説明不足。普通、
a the 、また複数の s が来なければ、具象化にはならないことが書かれていない。これでは学習者はカンで具象化かそうでないのかを、決めればならぬことになる。
p34<例文 7の前書き>
英文にはたとえば
The child is father of the man. などという言葉もある。「子供は大人の親である」とは、つまり「三つ子の魂百まで」にあたる意味で、有名な詩人Wordsworth(1770-1850)の詩句から出たものであるが、…
[私のコメント]
英語指導書だからと甘くなったのだろうか、引用が正しくない。ワーズワースの原文では
child C man M は大文字になっている。「子供」の純粋性を強調し、それに対照するものとして「大人」を示している、と思われる。ちなみに father に冠詞がないのは前と逆に、可算名詞の不可算名詞化で、抽象的な存在(親のようなもの)を示す。

まだ全ページの一割、来月も続きそうです。
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