アイディのホームページへようこそ! アイディについて 採用情報 サイトマップ お問い合わせ Go to English version!
HOME 翻訳 通訳 イベント・会議 A & V 人材派遣・紹介 SCHOOL 通信教育

第1回 (4月上旬号) 『味』① 誤訳編
by 柴田耕太郎
PDFデータ
1. 2008年4月上旬号
バックナンバー
前リシーズのデータ
PDFデータ
1. 2007年1月上旬号
2. 2007年1月下旬号
3. 2007年2月上旬号
4. 2007年2月下旬号
5. 2007年3月上旬号
6. 2007年3月下旬号
7. 2007年4月上旬号
8. 2007年4月下旬号
9. 2007年5月上旬号
10. 2007年5月下旬号
11. 2007年6月上旬号
12. 2007年6月下旬号
13. 2007年7月上旬号
14. 2007年7月下旬号
15. 2007年9月上旬号
16. 2007年9月下旬号
17. 2007年10月上旬号
18. 2007年10月下旬号
19. 2007年11月上旬号
20. 2007年11月下旬号
21. 2007年12月上旬号
22. 2007年12月下旬号
23. 2008年1月上旬号
24. 2008年1月下旬号
25. 2008年2月上旬号
バックナンバー
1. 2007年1月上旬号
2. 2007年1月下旬号
3. 2007年2月上旬号
4. 2007年2月下旬号
5. 2007年3月上旬号
6. 2007年3月下旬号
7. 2007年4月上旬号
8. 2007年4月下旬号
9. 2007年5月上旬号
10. 2007年5月下旬号
11. 2007年6月上旬号
12. 2007年6月下旬号
13. 2007年7月上旬号
14. 2007年7月下旬号
15. 2007年9月上旬号
16. 2007年9月下旬号
17. 2007年10月上旬号
18. 2007年10月下旬号
19. 2007年11月上旬号
20. 2007年11月下旬号
21. 2007年12月上旬号
22. 2007年12月下旬号
23. 2008年1月上旬号
24. 2008年1月下旬号
  文法力をつけたいが、無味乾燥な文法書など読みたくない。
そんな読者のために、人気小説の翻訳書にみる誤訳・悪訳をとりあげ、文法面から解説してゆく。題材は最近映画化された『チョコレート工場』の原作者で、日本がロケ地になった映画『007は二度死ぬ』の脚本家でもあるロアルド・ダール(Roald Dahl)の短編から任意に選ぶ。いずれも原文で10ページに満たない短いものだから、読者も自分で訳してみて、この解説を参考に、市販訳との優劣を競ってみてはいかがだろうか。 冒頭に誤りの種別と誤訳度を示したうえ、原文と邦訳、誤訳箇所を掲げます。どう間違っているのか見当をつけてから、解説を読んでください。パズルを解く気分で、楽しみながら英文法を学びましょう。

 今回取り上げるのは、『あなたに似た人』(早川文庫、田村隆一・訳)のなかの『味』(Taste)。
誤訳度: *** 致命的誤訳(原文を台無しにする)
** 欠陥的誤訳(原文の理解を損なう)
愛嬌的誤訳(誤差で許される範囲)

[ストーリー]
マイク・スコウフィールド家の晩餐会。当主のマイクと来賓のリチャード・プラットがワインの銘柄当ての賭けをすることになった。プラットは自宅と別荘を、マイクは何と自分の娘を賭けた。わかるはずがないと、高を括っていたマイクだが、プラットはボルドー、メドック、サン・ジュリアンと正しく地域を狭めてゆき、ついに「シャトー・ブラネール・デュクリュー」と言い当てた。勝ち誇るプラットは青ざめるマイクに約束の履行を迫った。と、その時、静かに控えていた老婆のメイドが、マイクのインチキを暴露する。
並列:
---, and each month he circulated privately to its members a pamphlet on food and wines.
(リチャード・プラットは)料理とワイン・リストを、会員のためだけに配っていた。

[解説]
food(料理)とwines(ワイン)が並列。
修正訳 そして毎月、彼は料理とワインに関する小冊子を、会員のためだけに配っていた。
時制:*** イディオム:
I had been to dinner at Mikes twice before when Richard Pratt was there, and on each occasion Mike and his wife had gone out of their way to produce a special meal for the famous gourmet.
私は二度、マイク家の晩餐会で、居合わせたリチャード・プラットと会ったことがあるが、そのたんびにマイク夫妻は、この有名な美食家のために、特別料理をさかんにつくったものだ

[解説]
元訳では「何回もマイク家に行っていて、そのうち2回プラットと会った」と読める。正しくは「2回マイク家に行っていて、2回ともプラットに会った」。out of ones wayは「わざわざ…」。goは「(出費などを)惜しまない」の意味だろう。
修正訳 私は二度、マイク家の晩餐会に出かけたが、二度ともリチャード・プラットに会った。マイク夫妻はいつも、この有名な美食家のために、わざわざ特別料理を出すべく奮闘した
形容詞:名詞:名詞:*** 形容詞:** 動詞:**
Mike Schofield was an amiable, middle-aged man. but he was a stockbroker. To be precise, he was a jobber in the stock market, and like a number of his kind, he seemed to be somewhat embarrassed, almost ashamed to find that he had made so much money with so slight a talent.
マイク・スコウフィールドは、おとなしい中年の男だった。だが、彼は株式仲買人で、正確にいうと、取引所の株式売買商だった。ちょっとした才覚で、小金をためこんだのを人にさとられるのが---これはいかにも彼の気性にふさわしいのだが、なんかきまりのわるさを感じもし、はずかしいようにも思われるのだ

[解説]
「優しい」との訳語から「おとなしい」を導いたか?amiablepleasantとかfriendlyの意味「人のよい中年男」。jobberを「取引所の株式売買商」としては「正確に」言った感じを受けない。それらしく「場内仲買人」としてはどうか。like a number of his kindは「彼の(ような)種類の(人の)多くに似て」→「その種の人間にありがちなのだが」。「はずかしいようにも思われるのだ」は主体があいまい。「かなり恥じているようでもあった」to find that 〜 は「人にさとられる」のではなく「自分でわかって、悟って」。
修正訳 マイク・スコウフィールドは、人のよい中年男だった。だが、彼は株式仲買人で、正確にいうと、場内仲買人だった。この種の人間にありがちなことだが、ちょっとした才覚で小金をためこんだのを、何か決まり悪く思い恥じ入ってさえいるようであった
副詞:**
As far as I could gather, some story about a chef in a Paris restaurant. As he spoke, he leaned closer and closer to her, seeming in his eagerness almost to impinge upon her, and the poor girl leaned as far as she could away from him nodding politely, rather desperately, and looking not at his face but at the topmost button of his dinner jacket.
私の耳にしたかぎりでは、パリのレストランのコック長の話のようだったが。喋っているうちに、彼は娘のそばにますますよっていって、熱心さのあまり、いまにも彼女にぶつかりそうだった。で、この可哀想な娘は、上品に相槌をうっているものの、むしろそれは身の毛のよだつような感じで、彼のディナー・ジャケットの第一ボタンに眼をやったまま、彼の顔を見ようともせずに、できるだけプラットからはなれようとしていた。

[解説]
「むしろそれは身の毛のよだつような感じで」は主体があいまい。「かなり必死になって」。
修正訳
(当該部分)
で、この可哀想な娘は、上品に相槌をうっているものの、相手のディナー・ジャケットの第一ボタンに目をやったまま、顔を見ようともせずに、必死になって身をそらせていた。
合成語:** 名詞:**
On top of the green filing cabinet in my study,Mike said. Thats the place we chose. A good draught-free spot in a room with an even temperature. Excuse me now, will you, while I fetch it. The thought of another wine to play with had restored his humour, (and he ---)
「書斎の、グリーンの書類棚のいちばん上においてあるんです。私たちが選んだのはそこですよ。一定の温度をたもっている室内で、そこがとても換気がいいのです。じゃ、ちょっと失礼して、もってまいりましょう」
 別の葡萄酒で愉しもうという考えが、彼にユーモアをとりもどさせたのだ

[解説]
draughtは「通風、通気」。-freeは「…がない」。つまり「換気がいい」のでなく「空気の移動がない」で、むしろ「換気は悪い」のだ。his humourはこの場合「ユーモア」でなく「気分、機嫌」の意味。
修正訳 「書斎の、グリーンの書類棚のいちばん上においてあるんです。私たちが選んだのはそこですよ。一定の温度を保っている室内で、そこは空気の移動がないのです。じゃ、ちょっと失礼して、もってまいりましょう」  別の葡萄酒で愉しもうという考えが、彼の気分をもとに戻した
形容詞:**
Mike stood very still behind his chair at the head of the table, carefully holding the bottle in its ridiculous wicker basket.
マイクは、あのおかしなヤナギ細工のバスケットに入っている瓶を、注意深くもちながら、テーブルの上席にある自分の椅子のうしろに、じっと立っていた。

[解説]
バスケットが「おかしい」わけではない。バスケットに入ったワインが賭けの対象としてエスカレートしそうになっている、おかしな雲行き。バスケットに象徴される事態を
ridiculousと言っているわけで、一種の転移修辞。
修正訳 マイクはヤナギ細工のバスケットに入っている問題の瓶を、注意深くもちながら、テーブルの上席にある自分の椅子のうしろに、じっと立っていた。
現在分詞形の形容詞:**
And again I saw, or thought I saw, something distinctly disturbing about the mans face, that shadow of intentness between the eyes, and in the eyes themselves, right in their centres where it was black, a small slow spark of shrewdness, hiding.
そしてまた私は見たのだ、いや、見たと思ったのかもしれない---この男の顔をありありとかきみだすなにものかを、両の眼のあたりにただよう熱っぽい影を、その眼のなかに、まさしくその黒い中心のなかに秘められたかすかなきらめきを、ぬけ目のないひらめきを。

[解説]
ここ並列と掛かり方が複雑。元訳はほぼ正しく読み解いている。文の骨格を示すと、I saw something, that shadow between the eyes, and in the eyes, (right in their centres), a small slow spark, (hiding). 〕だがdisturbing の訳「この男の顔をありありとかきみだすなにものかを」がいただけない。disturbing は、他動詞 disturb の現在分詞形の形容詞で「ひとの心をかき乱す」
修正訳 そしてまた私は見たのだ、いや、見たと思ったのかもしれない---この男の顔の辺りにある、人を強く不安にさせる何ものかを、両の眼のあたりにただよう熱っぽい影を、その眼のなかに、まさしくその黒い中心のなかに秘められたかすかなきらめきを、ぬけ眼のないひらめきを。
イディオム:**
Louise Schofield gave a jump.
ルイズ・スコウフィールドはとびあがった

[解説]
実際に飛び上がるわけではない。「どっきりした」
修正訳 ルイズ・スコウフィールドはびっくりした
イディオム:皮肉:
Then its a pity you didnt say it. But anyway, if you wish to go back on your offer, thats quite all right with me.
Its not a question of going back on my offer, old man. Its a no-bet any way, because you cant match the stake. You yourself dont happen to have a daughter to put up against mine in case you lose. And if you had, I wouldnt want to marry her.
Im glad of that, dear, his wife said.
「残念だけど、そうは言わなかったね。でもまあ、言葉を取り消したというんなら、僕は結構だがね」
「ぼくは言葉を取り消そうなんて言っているんじゃない。いいですか、これはどっちみち賭にならないよ。だって、きみが同じものをぼくに賭けることはできないからね。きみが負けた場合、ぼくにくれるお嬢さんを、きみ自身持ちあわせていないんだからね。また、お嬢さんがあったとしたって、結婚する気はないよ」
そうですとも、あなた

[解説]
go back onはイディオム「約束を破る」。
「そうですとも、あなた」では、夫人が向きになって、夫とともに相手に反論しているみたいだ。
Im glad of thatの直訳は「それ(夫の発言)を聞いてよろこんでいます」(be glad ofは喜びの持続的心理状態を示す)。話の流れを読めば、くだらない賭けにうつつを抜かす男たちへの皮肉、と取れるはず。
修正訳 「残念だけど、そうは言わなかったね。でもまあ、約束を反故にするというんなら、僕は結構だがね」
約束を破る破らないの問題じゃないよ、君。いいですか、これはどっちみち賭にならないよ。だって、きみが同じものをぼくに賭けることはできないからね。また、お嬢さんがあったとしたって、結婚する気はないよ」
そうあってほしいものね
イディオム:**
‘I’m telling you I can. Though I say it myself, I understand quite a bit about this wine business, you know. And anyway, heavens alive, girl, I’m your father and you don’t think I’d let you in for---for something you didn’t want, do you? I’m trying to make you some money.’
「はっきり言えるさ。自分が言うのもなんだが、葡萄酒のことにかけては、私もすこしは知っているつもりだ。そうだろう。とにかく、神かけて言うが、私はおまえの父親なんだし、それにおまえをだます---おまえのいやがることを私がごまかそうとしているなんて考えちゃいけないよ。私はおまえのためにお金を儲けてやろうと思っているんだよ」

[解説]
let one in forはイディオムで「人を面倒に巻き込む」
修正訳
(当該部分)
「…。とにかく、神かけて言うが、私はおまえの父親なんだし、---おまえをいやがることに巻き込もうとしているなんて考えちゃいけないよ。私はおまえのためにお金を儲けてやろうと思っているんだよ」
副詞:***
Im sorry, my dear, Pratt said, but I simply cannot have smoking at table.
「失礼、どうも私は、食卓でタバコが喫えないのでね」とプラット。

[解説]
外的事情で自分がタバコを喫えないみたいに感じられる。simply cannot「絶対にできない」。canは能力・可能性。haveは(1)心に持つ (2)身体に持つ (3)周辺に持つ (4)状況として持つ、のうち(3)。「自分が喫えない」のでなく「人が喫うのが許せない」のだ。
修正訳 「失礼、どうあっても食卓でのタバコはダメです」とプラット。
副詞:**
He held the breath, blew it out through his nose, and finally began to roll the wine around under the tongue, and chewed it, actually chewed it with his teeth as though it were bread.
それから息をとめて、鼻から吐き出した。そしていよいよ舌で酒をころがして、それを噛んだ。まるでパンみたいに、ほんとに歯で噛んだのだ。

[解説]
(1)ワインを転がす(行為:動詞)→あちこちに(大まかな位置:副詞)→舌の下で(具体的な場所:前置詞句)。
(2) ワインを転がす(移動:他動詞+副詞)→舌の下に(方向:前置詞句)
二つにとれると思う。本当に前置詞はやっかいだ。この点、助詞が位置・方向をはっきりさせてくれる日本語はよいものだ。流れから、(2)をとりたい。

修正訳 それから息をとめて、鼻から吐き出した。そしていよいよ舌の下にワインを転がし、それから噛んだ。まるでパンみたいに、ほんとに歯で噛んだのだ。
イディオム:イディオム:**
Now we can start to eliminate, he said. You will pardon me for doing this carefully, but there is much at stake. Normally I would perhaps take a bit of a chance, leaping forward quickly and landing right in the middle of the vineyard of my choice.
「では、消去にとりかかるかな。念入りにやらせていただきますよ。おまけに賭ときている。ふだんなら、ちょっとしたチャンスをきっかけに、思いきってとびこんでいって、こうとにらんだ葡萄園のどまんなかをピシッとおさえられるんだが。」

[解説]
at stakeは「問題となって」take a chanceは「危険を冒す」
修正訳 「では、消去にとりかかるかな。念入りにやらせていただきますよ。でも問題点は多い。ふだんなら、チョッピリ危険を冒して、思いきってとびこんでいって、こうとにらんだ葡萄園のどまんなかをピシッとおさえられるんだが。」
名詞:*** 名詞:*** 現在分詞形の形容詞:*** 使役:***
He paused again, closing his eyes. I am trying to establish the “growth”, he said. If I can do that, it will be half the battle. Now, let me see. This wine is obviously not from a first-growth vineyard---nor even a second. It is not a great wine. The quality, the ---the---what do you call it? ---the radiance, the power, is lacking. But a third growth---that it could be. And yet I doubt it. We know it is a good year---our host has said so---and this is probably flattering it a little bit. I must be careful. I must be very careful here. He picked up his glass and took another small sip. Yes, he said, sucking his lips, I was right. It is a fourth growth. Now I am sure of it. A fourth growth from a very good year---from a great year, in fact. And thats what made it taste for a moment like a third---or even a second-growth wine. Good! Thats better! Now we are closing in! What are the fourth-growth vineyards in the commune of St Julien?
「ではまず、<格付銘柄>の認定からかかる。それができさえすりゃあ、しめたもんだ。さてと、この酒は、あきらかに格付銘柄として第一級ではない、いや、第二級でもないぞ。最上作の年代のものじゃないな、この性質、その、そう、なんといったらいいか、輝き、力、そういったものが欠けている。しかし、第三級、うん、これはありうる。だが、まだ疑わしいぞ。上作だった年代のものだそうだが---これは、さっきご主人が言われたけど、すこしばかりハッタリがある。あぶない、ここがあぶないぞ」 彼はグラスをとりあげ、一口すすってみた。 「よろしい」そういって彼は唇をなめた。「やっぱりよかった。これは第四級。たしかです。絶対に最上作の第四級だ。それがちょっとの間、第三級か第二級のような味さえしてきたのだ。よろしい!ますますよろしい。さ、もうすぐだ。サン・ジュリアン地区にある第四級の葡萄園はどれか?」

[解説]
growthは「等級」
great wineは「有名銘柄ワイン」
flatteringは他動詞の現在分詞形の形容詞「…を実物以上によく見せる」
make it taste 〜 は(S)V O Cで「それ(等級の低いワイン)を…のような味がするようにさせる」
修正訳 「ではまず、等級の確定からはじめよう。それさえできれば、半分勝ったようなものだ。さて、いいかな。このワインは明らかに第一等級の葡萄園のものではないし、第二等級でもない。有名銘柄ワインではない。質は、そのなんて言ったっけ---輝き、力、が欠けている。だが第三等級ではありうる。いやいや、違うな。当たり年のものだ---そうご当主はさっき言われた---それで、実際以上にこのワインをよく見せたのだ。注意しなきゃ。ここんところは十分に注意しなければ。」  彼はグラスを上げ、またわずかばかり口に含んだ。 「そうだ」唇をなめながら言った「やっぱりそうだ。これは第四等級。自信をもってそう言える。当たり年---つまり大収穫年の、第四等級。それが、このワインを少しの間第三等級---いや第二等級ともとれるような味に見せかけたんだ。いいぞ。分かってきた。だんだん近づいてきた。サン・ジュリアン地区で第四等級の葡萄園といったら?」

*人の翻訳にケチをつけたくないが、この箇所の元訳はちょっとひどい。この田村隆一・訳を「名訳」と呼ぶ書評(評者名は失念)を、以前朝日新聞の読書欄で見かけたが、ちゃんと読んだうえでの批評なのだろうか。また、この作品『味』はワインを題材にした傑作との世評があるが、原文はそうだとしても、元訳で原産地をあててゆく推理が楽しめるだろうか。
イディオム:
Ah! he cried. I have it! Yes, I think I have it!
「ああわかった!わかったようです

[解説]
I think (that )は丁寧表現。第三者的に言っているわけではない。
修正訳 「ああわかった!わかりました。」
紋切り表現:
For the last time, he sipped the wine. Then, still holding the glass up near his mouth, he turned to Mike and he smiled, a slow, silky smile, and he said, You know what this is? This is the little Chateau branaire-Ducru.
これを最後と、彼は葡萄酒をすすった。口のあたりに、グラスをもったまま、彼はマイクの方に向くと、いんぎんな微笑をうかべて、 「きみにはわかっているんだね、これは、シャトー・ブラネール・デュクリュー」

[解説]
平叙文と疑問文の間の感じ、の表現。
修正訳
(当該部分)
お分かりですね。これはシャトー・ブラネール・デュクリュー」
綴りの間違い:**
It took a few moments for the full meaning of her words to penetrate,
彼女の言葉の意味がわかるまでには二、三分かかった。

[解説]
moments minutes の見間違え。
修正訳 彼女の言葉の意味がわかるまでにはしばらくかかった。
Copyright (C) 2006 ID Corporation. All Rights Reserved