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第40回 (4月下旬号)
『夜想曲集—第1章老歌手』
(カズオ・イシグロ作、土屋政雄訳)②
by 柴田耕太郎
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 原文に即した訳と土屋政雄の訳文を比べてみる。

THE MORNING I spotted Tony Gardner sitting among the tourists, spring was just arriving here in Venice. Wed completed our first full week outside in the piazzaa relief, let me tell you, after all those stuffy hours performing from the back of the cafe, getting in the way of customers wanting to use the staircase. There was quite a breeze that morning, and our brand-new marquee was flapping all around us, but we were all feeling a little bit brighter and fresher, and I guess it showed in our music.

(原文に即した訳)
 その朝、私は観光客の間に坐っているトニー・ガードナーを見つけた。春はここベネチアにまさに近づいて来ていた。私たちは外の広場での最初の丸丸一週間をやり終えていた。これは、確かに、階段を使いたがる客たちの邪魔になってカフェの奥から退屈極まりないあの長い時間演奏していた後では、一種の寛ぎであった。その朝はかなりの風があった。それで、私たちのいる新品の大テントは私たちの周りではためいていた。しかし、私たちは皆ちょっとばかり晴れやかで爽快だった。そうしてそのことが私たちの音楽自体に示されていたと思う。

(土屋政雄の訳)
 ある朝、観光客に混じってすわっているトニー・ガードナーを見た。ベネチアはちょうど春に変わろうとしていて、私たちは一週間前から戸外で演奏するようになっていた。冬中、カフェの奥で縮こまり、階段を上り下りする客に邪魔者扱いされながら演奏していた身には、戸外はやはりいい。気が晴れる。風がかなり強い朝で、真新しい大テントは天井も壁もはためいていたが、演奏する私たちの気分は明るく、浮き立っていた。音楽にもそれが現れていたと思う。

 うまいものだ。原文を精確に読めているから、自信をもって自分の文体を提示できている。初心者が真似するのはちょっと危険。

 刺激をうけて、私も拙訳を披露する。

(柴田の試訳)
 昼前、観光客に混じってトニー・ガードナーがいるのに気付いた。春はここベネチアに、すぐそこまで来ていた。戸外に出て広場で演奏をはじめ丸一週間経った頃だ。カフェの奥、観光客が上り下りする階段の脇で、迷惑がられながら演奏を続けていたそれまでに比べ、一種の開放感を味わっていた。その朝は風が強く、私たちのいるテントの布屋根をバタバタとはためかせた。けれど、メンバーは皆、晴れ晴れした爽やかな気分だった。曲の調べにもそれが現われていたと思う。
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